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私が躰を洗っている間に、
彼は後ろでお風呂イスに座ったようだ。
振り返って彼のほうに躰を向けて洗うのはさすがに恥ずかしいので、
気配だけでそれを感じる。
じっと座って待っている彼もさすがに寒いだろうから、
泡を流すついでに振り返って彼の躰にもシャワーのお湯をかけてあげる。
目が合う。
短いキス。
唇を離して、座ったままあごを持ち上げた姿勢の彼を確認し、微笑む。
本当なら今すぐに抱き締めたいのだ。
『帰りたくない。』
何度となく飲み込んだ言葉がまた込み上げる。
黙ってまた壁に向かい、シャンプーを手に取る。
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