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「隼人ー、大切な教科書を落としたらダメだろ?」
そう言いながら快は教科書を拾い、俺に渡すが受け取れる様子じゃないのに気付いたのかこいつは俺の手を掴むと次の授業が行われる教室ではなく、保健室へと連れて行った。
「ホリエモン~」
こいつは保健室の扉を開けながら言った。
「秋森、私は堀江ではなく堀だ。かくして、“ホリエモンではない”」
「でもそー考えると“ホリモン”になるけどイーの?」
「だーかーら、つまりその呼び方はやめろと言ってるのだ!!!堀先生様と呼べ!!!」
「はいは~い☆つまり、“ホリサマン”だな♪んじゃ、ホリサマン。隼人のヤツ熱があるから助けてやって」
「「え?」」
俺と先生がハモってしまった。
「長居(ナガイ)か。保健室に来るの初めてじゃなか?」
「そ、そうですね…」
言葉を交わすと先生の冷たい手が俺のオデコに触れた。
「確かに少し熱があるな…見てやりたいのだが私はこれから出張なんだ」
「だったら、この快サマサマが隼人を介護してやるから!ホリサマンはサッサと行く!!!!」
「お前は長居を見習って少しは授業に出ろ」
「先生バイバーイ☆」
快は全く聞く耳を持たず先生を追い出した。
まぁ、色々と好都合だからいいか。
「なぁ、好きな人ができたってホントか?」
「そーだとも!!同じクラスの朝川 水鳥(アサカワ ミドリ)ちゃんさ!」
朝川?
「はぁ?」
どうして俺がこんな間抜けな声を上げたかは、朝川は俺からみて上か下の女と考えると…………下だった。
べつに綺麗でもなく可愛くない。かと言って普通の女の子とは呼べなかった。
あいつは………学校内で知らない奴はいないほどひどいオタク女だった。
女子は面白い子というが(オタク以外の)男子から見たら気持ち悪い女として有名だった。
「お前……趣味悪いな」
「隼人には言われたくないなー。ほれ、ベッド イン!」
「お前が言うとなんか変な風に聞こえる」
「ほ~ぅ。どんな風に?」
快の問いかけを無視して俺は黙ってベッドに寝転がる。
「本気で朝川なのか?」
「おぅ。俺は常に本気で大好き」
「お前、モテるんだからもっと贅沢してもいいんだぞ?」
「十分贅沢してるさ。朝川めっちゃ可愛いじゃん!」
「………もういい」
俺はそう言うと頭までふとんをかぶった。
どうして俺とコイツは親友というかずっと一緒にいるのだろうか…
ふとそんなことが俺の頭を過ぎった。
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