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どれぐらい時間が経ったのか分からないが、暫くして俺は目が自然と覚めた。
「ん~よく寝た…」
――ガラッ
体を起こした瞬間、扉が開く音が聞こえた。
なぜか俺は反射的にふとんの中に再度潜ってしまった。
「せんせーい?」
高く可愛らしい声が聞こえてきた。女子のようだ。
あぁ、どうしよう…寝たふりがいいのか?それとも起きた方がいいのか!?
「あれ~?いないの~?ま、いいや。ベッド借りよう」
(ええぇぇぇ!?)
ココの学校の保健室のベッドは生憎、一つしかない。
でもこの女子はベッドを使おうとしている。
つまり、俺が寝ているベッドだ。
(どーすれば…)
「ベッド イン!」
なんかさっきも聞いたようなセリフだと思うと俺の上に何かが圧し掛かってきた。
「グハッ!」
「へ?」
********
「ごごごめんなさい!!!」
「別に、いいよ。気にしなく、て、も」
「大丈夫じゃないじゃん!?」
女子はアタフタした表情で俺を見つめる。
「はぁ。ホントに大丈夫だから」
「で、でも…」
「その前に悪いけど………あんた誰?」
「え?」
この学校は制服についているバッジによって学年が一目で分かるようになっている。
この女子がつけているのは俺と同じバッジ。同級生だ。
だが、俺の思考をどんだけ廻らせてもこいつのことは知らない。
「あ、私?朝川水鳥だよ☆」
「ブハッ!」
こ、こいつが?
髪とか黒から茶になっている…いつも二つ結びとかだったくせに珍しくおろしていた。
「びっくりした?私、それなりに有名人だもんね~イメチェンしたんだぁ!」
「へ、へぇ」
「長居くんはさー」
「なぜ俺を知っている」
「当たり前じゃん☆いつも秋森くんと一緒にいるじゃん」
得意気な顔で朝川は言う。
「またアイツか…」
「二人って仲いいよね。意外~」
「そのセリフは聞き飽きた」
「あ、もしかして気にしてた?ごめんね~」
「べつに」
♪~~♪~
すると保健室中に着信音が鳴り響く。
「あ、俺の携帯だ」
「私のことは気にしなくていいよー」
「別に気にしないから」
「………」
「…なに?」
「いや、長居くんって意外にツンデ「黙れ」
そう言い放つと電話を耳に傾けた。
電話の相手はクラスメイトからだった。
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