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『……できたぁ!』 テーブルの上には二人分の食事。 僕と母さんは対面して、食事を始めようと座った。 時刻は8時。 僕の家では、『8時を回ればご飯を先に食べる』、といった変わったルールがあるため、とりあえず父さんの分のご飯はラップに包まれている。 と、母さんが笑いながら言った。 「父さんは大体ご飯ができて、いざ食べようとする時に帰って来るんだよね」 僕も笑いながら返す。 「そうだよね、父さんはそういう人だから」 夜の食卓に笑い声がこだまし、 「ただいまー」 『あ……』 噂をすればなんとやら、食卓に父さんの声が響いた。 「さて……もうこんな時間か……」 パジャマ姿で布団に潜りながら小説を読んでいたが、内容に入り込んでいたせいか、予想していた時間よりも随分と時間が経過していた。 「もう寝なきゃね……」 僕は小説を片付けると、部屋の電気を消して瞼を閉じた。 一瞬、明日もまた部活で面倒なヤツの相手をするのかと思ったが、いつものことだと割りきって眠りについた。 これが日常だった。 普通だった。 何事もない、一日だと言えたのだった……。
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