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少女の名は幸。
16歳の6月の頃、不登校になり、ずっと家でテレビゲームばかりやっていた。中3の受験の時、両親が母校に行けと勝手に決めつけ、一番の志望校に行けなかった。
入試の時は、名前だけ書いて寝てたっけ…。
たった1学期だけの高校生活。
楽しくなかった。
イジメ、家庭内暴力…。
散々だった。
唯一の楽しみは部活の時間だけ。
部活は演劇部と合唱部。演劇部は週1だけ出ていた。
合唱部は週5。
でも、合唱部にはイジメてくる子がいた。
だから合唱部に出ると言ってても出ずに演劇部に行っていた。
夏休みも合唱部のコンクールがあるというのに練習にも行かなかった。
演劇部の方ばかり行っていた。
演劇部には仲良い友達がいたのと、演劇部の部長が好きだったから。
いわゆる片思い。
夏休みのある日、いつものように部室に行った。部室といっても美術室だった。
その日は部長だけしか来てなかった。
「おはよ。」
「おはよ。」
部長はいつものように笑顔で迎えてくれた。
「先輩、勉強してたんだ。ぅち、邪魔だった?」
「いんや。そんな事ないで。」
「そっかぁ、よかったぁ。先輩ももう受験だもんね。この学校からいなくなっちゃうんだ…」
「せゃなぁ…。なんか寂しいわ」
と先輩は寂しそうに言った。
「先輩、話変わるけどいい?」
一瞬、暗くなった空気を取り戻す為にぅちは別の話題を出した。
「ん?何?」
「好きな人っている?」
今まで思っていた質問。始めて先輩に言う。
「いないなぁ」
先輩は照れたように言った。
「そっかぁ。」
やっぱりいないんだというのとよかったという気持ちが交差する。
「幸は?いるの?」
唐突の質問にぅちはビックリした。
「いっ、いるょ。好きな人ぐらい。」
恥ずかしくて先輩に背を向ける。
「そっかぁ、いるんや。誰?俺だったりしてぇ。」と冗談混じりで言ってくる。
先輩に好きな人を当てられ、ぅちは慌ててしまった。
「なっ、何言ってんの。違うってば。」
焦るぅち。
「ほらちゃんと言えって」とうちの肩を組んでぅちを弄る先輩。
それがとても恥ずかしくなって顔が熱くなってくのを感じた。
その表情に気づいた先輩。
ヤバッ気づかれた。
どうする事もできず、下を向いた。
「んで、どうなん?実際」
さっき冗談言ってた顔はどこへ行ったのか真剣にぅちの顔を見る先輩。
「せっ…先輩なの。好きな人
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