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別にその時、先輩の存在なんかどうでもよかった。
ぅちより頭良いし、成績も良い人。
ぅちには不釣り合いな人ってわかってた。
だから未練はなかった。
放課後ぅちは、いつものように先公にバレない校舎裏の影で煙草を吸ってた。
しばらくしてこっちに近寄ってくる足音が聞こえた。
ヤバッ。先公!?わからんけどとりあ消そっ。
慌てて煙草を消して、土の窪みに吸い殻を隠した。
来たのは3年の先輩やった。
「お前、何してんの?」
「煙草吸ってた。」
「そか。俺も煙草吸いに来たんだ。」
とぅちに笑いかける。
先輩はぅちの横に座った。
「俺、コウジ。お前は?」
「幸。」
「そか。幸か。仲良くしよな。」
「うん。」
先輩は煙草を口にくわえズボンのポケットを探っている。
「悪い。火貸して。」
「はい。」
ぅちは、ライターを先輩に渡した。
「ハァー美味っ。お前、吸わねぇの?」
「吸う。吸う。」
ぅちは慌てて、煙草を出し、吸い始めた。
他愛ない会話で盛り上がる。
煙草の事、部活の事、先公の事、そして家族。
毎日のように校舎裏の影で煙草を吸いながら喋ってた。
ある日いつものように煙草を吸ってたらコウジが真剣な顔で話かけてきた。「お前、好きな奴は?」
「いるよ。」
「そっか…」
コウジは少し寂しい顔をした。
「どしたん?急に」
「お前、今から言う事真剣に聞けよ。」
「うん。早く言って。」
「あんなぁ、俺お前の男になりたい。」
「へっ!?」
「だから、付き合って」
と先輩は背を向けてぅちに言った。
「うん。わかった。」
「んじゃ、今から俺の女やで。今日、一緒に帰ろ。」
そして、コウジとぅちは一緒に帰った。
帰りの方向も途中までやけど一緒やった。
学校以外でデートはしなかったけど放課後煙草吸って、一緒に電車で帰んのがデートみたいな物やった。
先輩が受験に近づくにつれ、一緒に帰るだけになってしまったが、ぅちはそれで幸せやった。
それが続いたある日、いつものように一緒に帰りょる途中にコウジが煙草吸いたいなぁって言ってきた。
そして、田んぼ道の中にある休憩所みたいなトコで吸ってた。
話に夢中になっとったぅちとコウジ。
ふと学校の方に目を向けるぅち。
先公がチャリでこっちに来よった。
「コウジ、ヤバイ。先公来よる。煙草消さな。」
「マジ!?ヤベェよ。」
ぅち等はすぐに煙草を消した。
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