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その事件は突然起こった。
いや、もしかしたらずっと前から起きていたのかもしれないが。
最初に殺されたのは葉山香苗。
T高校に通う17歳だ。
彼女は人気の少ない山の中で発見された。
厳密には山の中というのは間違いで、その山全てが現場なのである。
彼女は小さく切り刻まれ、山の麓から一定の距離で点々と置かれていた。
踵を始点に、順番に拾っていき、頂上の柱に頭部が刺してあった。全てを順番通りに揃えると彼女が「完成」するようになっていた。
その残虐さ、遺棄に対する手の込みように、事件というより芸術作品に近い印象を受ける。
メディアはこぞってこの事件を取り上げた。
日本では珍しい猟奇殺人だそうだ。
その報道を聞く度に日本は平和ボケしているのだと感じる。
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