一話 上野 空と仲間たち

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 幼少時代  「ねぇ! 返してよ!」 「取れるもんなら取ってみな」 恋が、同級生数人にからかわれている。 筆箱を取り返そうと追いかけるが、今にも泣きそうだ。 「泣け泣け~!」 誰も止める気配がない。  「何やってんの?」 そんな中、そのいじめの中心人物に僕は話し掛けた。 「なんだよ? お前は」 「いや~、ただの通りすがりの者です」 「こいつは、隣りのクラスで有名な【うわのそら】ですよ」 スネ○らしき(手下)人物が、ジャイ○ンらしき(親分)人物に耳打ちする。  恋は、救いを求めるような目でこちらを見る。 「お前が噂の…。 杉崎の代わりに取り返してみるか?」 「いやいや、面白い遊びを考えるなぁって、感心してしまって」 ゴッ! 「イッテ~な。何すんだよ?」 恋は、無言で僕を殴った。 そして、涙目で僕を睨む。  「こうゆう奴なんですよ。 だから、お仲間に入れて下さい」 「そうかそうか」 遊びを褒められたのが嬉しかったのか、まんざらでもない顔のジャイ○ン。 「ぜひ、仲間に入れて下さい! ジャイ…いや、ボス」 周りからは、僕への非難の声が小声で囁かれ始める。 「俺をそこらのヒーローだと思うたか~! ワッハッハ~」 もはや、完全なヒールにまわった。 「気に入った! ほらよ」 ジャイ○ンは、気分よく僕の方に筆箱を投げた。僕は筆箱を受け取ると、泣いてる恋にそれを渡した。 「ちゃんと持ってろよ」 「…バカ」 恋は、僕を睨んでビンタを食らわし、走り去っていった。  「なんで?」 頬を手にあて、頭の中では、疑問がコダマする。 良い事したはずなんだけどな…。 僕は頭を掻いた。 「お前何やってんだよ! せっかく、盛り上がってきたとこなのによ」 相当、ご立腹のジャイ○ン。 「すみません。 視力悪いんで人の判別が…」 「ふざけやがって!」 僕の言葉は焼け石に水。 もしくは、火に油を注ぐ。 この後、どうなったかご想像にお任せします。
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