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幼少時代
「ねぇ!
返してよ!」
「取れるもんなら取ってみな」
恋が、同級生数人にからかわれている。
筆箱を取り返そうと追いかけるが、今にも泣きそうだ。
「泣け泣け~!」
誰も止める気配がない。
「何やってんの?」
そんな中、そのいじめの中心人物に僕は話し掛けた。
「なんだよ?
お前は」
「いや~、ただの通りすがりの者です」
「こいつは、隣りのクラスで有名な【うわのそら】ですよ」
スネ○らしき(手下)人物が、ジャイ○ンらしき(親分)人物に耳打ちする。
恋は、救いを求めるような目でこちらを見る。
「お前が噂の…。
杉崎の代わりに取り返してみるか?」
「いやいや、面白い遊びを考えるなぁって、感心してしまって」
ゴッ!
「イッテ~な。何すんだよ?」
恋は、無言で僕を殴った。
そして、涙目で僕を睨む。
「こうゆう奴なんですよ。
だから、お仲間に入れて下さい」
「そうかそうか」
遊びを褒められたのが嬉しかったのか、まんざらでもない顔のジャイ○ン。
「ぜひ、仲間に入れて下さい!
ジャイ…いや、ボス」
周りからは、僕への非難の声が小声で囁かれ始める。
「俺をそこらのヒーローだと思うたか~!
ワッハッハ~」
もはや、完全なヒールにまわった。
「気に入った!
ほらよ」
ジャイ○ンは、気分よく僕の方に筆箱を投げた。僕は筆箱を受け取ると、泣いてる恋にそれを渡した。
「ちゃんと持ってろよ」
「…バカ」
恋は、僕を睨んでビンタを食らわし、走り去っていった。
「なんで?」
頬を手にあて、頭の中では、疑問がコダマする。
良い事したはずなんだけどな…。
僕は頭を掻いた。
「お前何やってんだよ!
せっかく、盛り上がってきたとこなのによ」
相当、ご立腹のジャイ○ン。
「すみません。
視力悪いんで人の判別が…」
「ふざけやがって!」
僕の言葉は焼け石に水。
もしくは、火に油を注ぐ。
この後、どうなったかご想像にお任せします。
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