一話 上野 空と仲間たち

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 学校からの帰り道。 「ねぇ! 待ってよ」 恋が追っかけてきた。 「そんなに急いでどうしたの? さては、またビンタする気じゃ!?」 僕はとっさに身構えた。  「いや、違うから」 恋は手を横に振る。 「さっきは、ごめんね。 痛かった?」 「あいつ手加減しねぇんだもんな」 顔のバンソウコウが目立つ。  「そうじゃなくて、あたしが叩いちゃったから」 「そんなのは、ジャイ○ンに比べたら、屁のツッパリにもならん」 「(なんか、礼言う気失せる…)」 恋は、気力でその考えを跳ね除けた。 「さっきは取り返してくれて…ありがと」 「あ~、今日はいい天気だね」 僕は、真面目な話やお礼をされると、空を見る癖がある。 そういう話が苦手だから。  「人が、せっかくお礼言ってるのに」 「礼言われる事は、してないから」 「…もう、だから【うわのそら】ってバカにされるんだから」 名前のせいもあり、そう呼ばれる事が多くある。  「だいたい、助けるならもっとカッコよく、闘って取り返して…」 「俺が普通にやって、勝てると思うか?」 「まぁ、それは…そうだけど」 恋も、僕が弱い事は十分知っている。 「それに、ケンカは好きじゃないし」 「てか、弱いだけでしょ。 プッ」 あ~この人、恩を仇で返しちゃう人だよ。 もう助けねぇ。 絶対助けねぇ。 僕はそう心に決めた。
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