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学校からの帰り道。
「ねぇ!
待ってよ」
恋が追っかけてきた。
「そんなに急いでどうしたの?
さては、またビンタする気じゃ!?」
僕はとっさに身構えた。
「いや、違うから」
恋は手を横に振る。
「さっきは、ごめんね。
痛かった?」
「あいつ手加減しねぇんだもんな」
顔のバンソウコウが目立つ。
「そうじゃなくて、あたしが叩いちゃったから」
「そんなのは、ジャイ○ンに比べたら、屁のツッパリにもならん」
「(なんか、礼言う気失せる…)」
恋は、気力でその考えを跳ね除けた。
「さっきは取り返してくれて…ありがと」
「あ~、今日はいい天気だね」
僕は、真面目な話やお礼をされると、空を見る癖がある。
そういう話が苦手だから。
「人が、せっかくお礼言ってるのに」
「礼言われる事は、してないから」
「…もう、だから【うわのそら】ってバカにされるんだから」
名前のせいもあり、そう呼ばれる事が多くある。
「だいたい、助けるならもっとカッコよく、闘って取り返して…」
「俺が普通にやって、勝てると思うか?」
「まぁ、それは…そうだけど」
恋も、僕が弱い事は十分知っている。
「それに、ケンカは好きじゃないし」
「てか、弱いだけでしょ。
プッ」
あ~この人、恩を仇で返しちゃう人だよ。
もう助けねぇ。
絶対助けねぇ。
僕はそう心に決めた。
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