ep.01:地球

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ん? …何だここ? 俺は何故だか真っ暗な空間にいる。 辺りを見回す。 周辺には何もない。 ふと前の方(真っ暗だから前かどうかはわからないけど)を見た。 紫色の火が一瞬点った。 次の瞬間、俺の目の前にテトラが現れた。 「うわ!?」 俺は内心半端なくビビった。 テトラだ!テトラが出た! テトラはニヤリと笑った。 葱を背負ってきた鴨を見つけた人のように。 俺はテトラに背を向け、走り出した。 ……? あれ? 走っている感覚はあるけど、前に進んでない気がする。 真っ暗だからか? 突然耳元で声がした。 「お前も逃げるのか?」と。 俺は背筋が凍ったような気がした。 俺はテトラの方に向き直った。 やはり進んでない。テトラとの距離はさっきのままだった。 「真崎漸」 名乗っていないに、テトラは俺の名を呼んだ。 「お前に覚悟はあるのか?」 覚悟? 何の覚悟だ? 死ぬ覚悟はないな。死ぬ事は怖いから。 炎狼牙やテトラがいる世界に行く覚悟もない。 面倒だし、 怖いから。 俺はその言葉は口に出さなかった。 自分が惨めになりそうだから。 俺が無言でいると、テトラは呆れた表情をした。 「なんだ…奴の関係者だから強いものだと思い込んでいた私が馬鹿だった…殺す価値もない。」 そういうとテトラは紫色の炎に変化して、俺の前から消えた。 俺は安堵した。
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