8人が本棚に入れています
本棚に追加
/118ページ
「今日も変わらず暇だぁ」
そうウィズは呟きながら芝生程度の草が生えている地面に寝転がっている。
「確かに……暇ですね」
そう言いながら現れたのは魚のような形をした薄い肌色のゼリー。名をフェシムクルと言ってウィズの頼れる相棒だ。
「しかし、この時間帯ですから、人が少ないのは仕方がないことだとは思いますよ」
太陽はまだ頭のてっぺんからサンサンと照らしつけている。この時間帯、南には人はまばらにしかいない。
「それにですね、暇暇言っていますが本当ならあなたはやるべきことがあるのですよ?」
「あれ?何かあったっけ?」
やる気が無いようにウィズは寝転がりながら適当に生返事を返した。
「あなたの兄弟がブルージェムストーンの在庫が切れそうだから補充しておいてと言っていたではないですか」
「あ~……そうだっなぁめんどうだけど行くか……スィフィの奴、聖職者なのに頼み事さぼるとかなり怖いからな……」
「聖職者は関係ないと思いますよ……」
ウィズはむくっと起き上がり背筋をぐぐっと伸ばして、一度あくびを漏らした。
「よし、買い出し行くか。フェシ」
そう言われてフェシムクルは跳ねながら主、ウィズの後ろをついて行った。
「……あれ?ウィズさん今日はまだいないのかな?」
ウィズが買い出しに行ってからしばらくして、ウィズと同じ職業の女の人が大きな鳥をつれて現れた。
「しばらく待ってみようか?レンフィー」
「うん。待ってたら来るかもしれないからね」
風が草木を静かに揺らした昼のお話……。
最初のコメントを投稿しよう!