並々ならぬ奈美恵

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並々ならぬ奈美恵

数日前、私は一人の人に会いました。 私はとても軽い気持ちで会いました。 すると、その人はこう言いました。 「こうゆう仕事がある。4月1日から働かないか?」 私は戸惑い、濁すように言いました。 「有り難いお話ですが、上司に相談してみないとお答えできません。」 男は言いました。 「そうですよね。それなら早めに答えを聞かせて下さい。」 真っ白な私は「…はい」と生返事をしました。 すぐに親方の家に上がり、いきさつを話しました。 親方は怒りました。 そして、初めて私にかける期待を話してくれました。 他人のクセに私が50や60のジジィになった将来まで心配してくれてやがりました。 それなのに私はまだ自分の夢を捨てれませんでした。 私の願いは産まれた会社の本部がプライドを取り戻すこと。 私の夢はそうなった時、立ち上がる者達の力添えをできる技量を持つこと。 数年前、私はこの世界では名の通った今の親方に弟子にしろと頼んだ。 親方に夢を話たら 親方はそれを「尊いこと」だと言った。 「それならば俺の所にくれば少しは勉強になるだろ。」 それから丸5年ただ必死にかじりついてきた。 でも、本部は私が思っていたより腐ってた。 ゴールまでの沢山のルートが音を立てて崩れた。 でも私の気持ちは、夢は未だにブレてくれない。 …のに、家の会社は傾き始めた。 家の助けになるためには親子が食えるだけの利益がない。 悩む私に親方は解決策を出してくれた。 「ウチの会社の傘下に養子で入れ。」 一つの存在意義を捨て、夢をつむぎ、実家と二足の草鞋…実に合理的。 しかし、養子先には親方の所より実家の本部を必死にする条件付き。 親方なら必ずうまく丸める。 私も確信してる。 父親も同意した。 そこで舞い込んだ「4月1日から来れないか?」 私は私の食い扶持を全く違う職業で稼ぎ、実家の手助けと言う選択。 結局、私は親方を裏切った。 親方の恩も、そこに勤めていた人達も…。全部。 去り際に親方は「別に喧嘩別れじゃない。ただ、お前の技量が無駄になるのはもったいないし、もう少しで俺が教えられる事の仕上げが終わる所で残念だけど、お前が幸せになればそれでいいんだ。次の仕事じゃどうせ近くに来る事増えるんだろ?おみやげ一杯持って遊びに来いよな!」 これから私の新章が始まります。
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