闇を照らす少女

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「うぅ………なんだってんだ?」 光が収まり、僕は目を開けた。するとそこには、一人の少女が佇んでいる。 「? 君はだれ?」 すると少女は僕に向かって微笑んだ。 「私は貴方の力。貴方は世界を救う鍵」 少女はそう言うと、僕の目の前まで歩いて来て、僕にいきなりキスをした。 「!? な、何するんだよ!」 驚いた僕は一歩たじろいだ。しかし、僕の問いには応えず僕の手を握った。 「さぁ、我が主よ。私の力を使い、大地の闇を照らして下さい。」 「いやいやいや!全くもって意味不明だから!大体君は何処のだれでーーー」 僕が混乱していると、僕の横にそびえ建っていたビルから爆発が起きた。 「うわっ!な、なんだよ次は!?」 僕がビルに目をやると、少女が呟いた。 「来ます。ご注意を」 「へ? 来るってなにが?」 少女の言っている事の意味が分からなかったが、次の瞬間それが実感を沸かせた。 爆発したビルから、黒いなにかが飛び出してきたのである。そのなにかからは、武術を嗜んでいない僕でも分かる程殺気に満ちていた。 「な! なんだよこいつ! ていうか、デケェ」 それが一目見た感想。次の瞬間、それの目が僕たちに向いた。 「グッグッ!見ツケタ、光ノ巫女。コロス!」 不気味な声を発した後、いきなり襲いかかって来た。僕は咄嗟に右に回避。地面に肩を打って痛かったが、今はそんな事を言っている場合では無い。僕は少女の手を掴むと、その場から逃げた。 「一体全体なんだよこの状況ぉ! なんで僕がこんな危機に瀕してんだ!」 そして、奴に見つからない様な場所に身を潜めて、この厄介ごとの張本人に聞いた。 「あれはなんだ? なんで君に襲いかかって来るんだ?」 すると少女は、真剣な目をして僕に向いた。 「あやつは、闇で造り出された魔物。そして私は、その闇に対抗するために造られた者。だから私を狙って来た。」 少女はそう答えた。 「なるほど。でもそれだと俺に力を与えなくても自分で倒せるんじゃ?」 「私の力は、闇に対抗するために造られたもの。でも、それだけじゃ奴等は倒せない。だから今貴方に力を与えた。この闇が作った世界で唯一活動を許されている貴方に。」 僕の疑問は、少女に納得させられてしまった。 「で、でも! あんなのに勝てる様な力なんて僕には無いよ。」 「いいえ、貴方には私と同じ力を感じる。だから勝てる」
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