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『おい!』
見れば、半透明ユージが愕然とした顔で私をみてる。
あ、あれ?
「も、もう一回!」
『心からだぞ!』
わかってるんだけどなぁ。
囁いてみたり、身ぶり手振りを加えてみたり、劇団風にしてみたり、物真似しながら言ってみたり。
色々試してみたけど、やっぱりダメ。
「私、ユージのこと愛してないのかな……」
そんなわけないと思うんだけど。
『もういいよ、チサ』
あ、心なしか糸が細くなってる気がする。
『お前の気持ちはよくわかった』
わざとらしく白い壁を叩きながら、ユージがぼやいた。
もちろん幽体離脱中なので叩けてないんだけど。
「だから、何かの間違いだって」
『オレのこと、愛してないんだろ』
「だからっ」
『いいよいいよ、もう』
あーもう!
いじけないでよ!
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