家族

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 あと15分。  背筋に悪寒が走って、全身に鳥肌が立つ。  この期に及んでまだ夢じゃないかなんて期待している私に、刻一刻を刻む秒針が現実を突きつけた。  まだ、走れる?  自分に問いかけると、自然と足が動いた。    ユージ。  ユージ。  ユージ。  声にならない叫びを繰り返し、私は病室に駆け込んだ。 「ユージっ」  お医者さんや看護師さんが、ユージを取り巻いている。  浮かんでいるはずのユージを捜すのに、なぜか見当たらない。  視線を巡らせていると、隅でうずくまっているお姉ちゃんがいた。
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