7354人が本棚に入れています
本棚に追加
『その時、姉ちゃん泣いてたよ。お前が、親が死んだときも泣かなかったって言ってから、ぶっちゃけ焦った』
見ていないけど、そのときのユージのことは簡単に想像できる。
想像できないのは、ユージの前で泣いているお姉ちゃんだ。
いまここで泣いているお姉ちゃんさえ、私には少し信じられない。
だって、お姉ちゃんは私と違って強くて、どんな時でもしっかりしてて……。
『……気づいてやれよ。姉ちゃんは強くもねぇし、全然泣かないわけでもないんだって。泣きたいときに、お前がいてくれたってだけだよ』
……だって、私は強いお姉ちゃんしかしらない。
いつだって正しくて、前を向いて強くて。
『お前さ、前に言ってたよな。姉ちゃんはいて欲しいときにいつもいてくれないって。でも、姉ちゃんのいて欲しいときに、お前はちゃんといたんだよ』
だから、ちゃんと気づいてやれ。
と、ユージはもう一度繰り返した。
最初のコメントを投稿しよう!