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ユージの体に駆け寄って、手を握る。私の突然の行動に、看護師さんが2人がかり引き離しにきた。
錯乱している恋人。そう見えているんだろうけど、何でもいい。
お願いだから、ユージを連れて行かないで!
『ごめんな、チサ』
「やめて!」
何で謝るの!? そんな言葉聞きたくない!
『もっと、ずっと一緒にいてやれるつもりだった』
「聞きたくない!」
『最後に、お前と話が出来て、良かったって思ってるよ』
そっと、ユージが私の肩に手を乗せた。その手さえ、私にはもうほとんど見えはしない。
『オレさ、本当にお前が心配なんだよ』
それなのに、声だけはちゃんと胸に響いて。
まだ、間違いなくユージはここにいるのに。
『お前、バカなんだからさ。あんま難しいこと考えんな』
バカはユージだ! そんな、別れの言葉が欲しいんじゃない!
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