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やめて、お願い。神様!
ユージを連れて行かないで!
「嫌だ! ユージ、ユージ!」
ユージが消える。
確かに見えていた輪郭が消え去る寸前、ユージが思い出したように口を開いた。
『そうだ、チサ』
そう言ったユージが笑っていたのかどうかも、もうわからない。
『あい……し……』
最後の言葉は、無機質で長い、心電図の音にかき消された。
ユージの声が聞こえない。
ユージの姿だどこにも見えない。
「ユージ?」
膝は力をなくして、床にへばりつく。両手を伸ばしても、どこにもユージはいない。
私はただ宙を仰いで、ユージの名前を叫び続けた。
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