愛してるを三回

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『家族……ねぇ』  ユージが、少し遠くを見ながら神妙に呟いた。 『いても、捨てた子供のことなんて、覚えてねぇよ』 「ユージ……」  覚えて無いなんてこと、あるわけない。  そんな軽々しいことは、私には言えない。 『でも、それぐらいしかねぇのかな』  少しだけ間をあけて、ユージは机に置かれている鞄を指差した。  ユージの荷物は、事情を詳しく説明して、私が預かっている。 『外のポケットのとこに、住所をかいた、紙が入ってる』 「え?」 『オレの、母親の住んでるとこ』  ユージの、お母さんの?  私は急いで、ユージの鞄を探った。  ユージが母親の住所を知ってる? どうして…。 『話があったから、興信所とか使って、調べた。黙ってて悪かったよ』  ユージに、母親の話を聞いたことがある。  顔も覚えてない。もう、会いたいとは思わない。  そう言ってた。  ……どうして、今になって?
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