思い出の名前

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 ひとまず、ユージのお母さんに会わないことには話にならない。  病院からすぐにタクシーを捕まえ、行き先を伝えようとして、私は気付いた。  ……この住所めちゃくちゃ遠いんですけど。  いや、遠いなんてもんじゃない。  新幹線で行っても、2時間半はたっぷりかかる。  関東から関西まで、箱根の山を越えねばならない。  ……先に言ってよ、ユージ。  行って帰るだけでも、5時間ほど。  もしお母さんがダメなら、後がないじゃない。  ……どうしよう、引き返した方がいいんじゃないかな。  だって、もしその間にユージの容態が急変でもしたら。 「……信じろ。私」  ギュッと手を握って、自分に言い聞かせる。  ユージは24時間以内に愛してると言われなければ死ぬと言った。  裏を返せば、24時間は死なないってことだよね。  不安な気持ちを圧し殺して、駅に向かってもらう。  到着するなり、そのまま新幹線に飛び乗った。  急げ。急げ。
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