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――ユージが他の女と会ってたよ!
なんてメールが友達から届いたのは、5時間前。
なぜか私はいま、病院にいる。
耳に蘇るのは、事務的な先生の声。
――手は尽くしました
手は尽くした……?
ならどうして、ユージは目を覚まさないの?
ようやく面会を許された私の前には、たくさんの機械の前で横たわる恋人の姿がある。
耳に響く心電図の電子音だけが、ユージがまだ生きているんだと教えてくれる。
「ユージ……?」
ねぇ。
なんで答えてくれないの……。
さっきまで、あんなに元気だったじゃない!
「ユージっ!」
看護師さんが、気を利かせて病室からでていったのがわかった。
手術のあと、初めて面会が許されたのに、ここには私とユージしかいない。
私は、この悲しみを、誰とも分かち合えないのだ。
「ユージ」
目を覚まして。
「ゆーっ」
『なんだよウルセェな』
返ってくるはずのない声に、私は呆然とユージの体をみた。
目は、覚めていない。
じゃあ、どこから? 空耳?
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