思い出の名前

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 なりふりなんて、構ってられない。 「最期かもしれないから、ちゃんと見てあげてください!」  どんないい訳だっていい、この人を連れて行けるなら。 「ユージを少しでも愛してくれてるなら……」  だって、母親でしょう?  さっき、あの女の子をあんなに愛しそうにみてたじゃない。  ユージじゃダメなんですか?   ユージを愛してはくれないんですか? 「お願いです、ユージに会って下さい」  搾り出すように言ったと同時、扉が開いた。  そこから現われたユージのお母さんは、真っ青な顔をしている。 「祐司が……事故って、本当ですか?」 「……はい」  小さく頷くと、お母さんは震える手で口元を押さえ、まばたきをすることも無く両目から涙をこぼした。 「助かるんですか?」 「先生は、難しい状況だと言ってました」
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