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取り繕うように言えば、ユージのお母さんは何かいいたげに口を開いた。
だけどそれを言葉にする前に、ため息に変えてしまう。
何を言おうとしたんだろう。
……ユージのことなら、聞きたいな。
だけど、何となく訊ねのは憚られて、私はそのまま黙り込んだ。
景色がゆっくり流れていく。夕方のラッシュか、渋滞でなかなか車が進まない。
神様、お願いです。早くユージのところへ行かせて。
必死でそう願うのに、どんどんと交通量は増えていく。
気まずい空気がさらにゆっくりと時間を進めるなか、日が沈みかけた頃にようやく私たちは駅にたどり着いた。
そして、思わず腰をぬかしてしまうことになる。
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