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なんと返していいかわからなくて、私はまた曖昧に相づちをうった。
「彼とはすぐにダメになって……、それでも私は、祐司を1人で育てるんだってはりきってました。高校も辞めて、働いて……」
……そりゃあ。
子供を捨てたんだもん。
それなりに事情はあったんだろうけど、ユージを見てきた私は簡単に「大変でしたね」なんて同情できない。
「だけどある日、急に……糸が切れちゃったんです」
ユージのお母さんは、淡々と言葉を続ける。
「突然、もう……何もかもが嫌になって、祐司さえいなければって、泣いて叫んで。衝動でした、気がついたら、私はあの子を施設の前に置き去りにしてたんです」
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