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私の絶叫に、看護師さんが部屋に飛び込んでくる。
「どうかしましたか!?」
座りこむ私の肩に手をあてる看護師さんに、私は震えながらユージを指差した。
「中野さんが、どうかしたんですか?」
中野は、ユージの名字だ。
看護師さんは首をかしげながら、私とユージを見比べる。
「え、ユージが、浮いてて」
……あれ。
もしかして……、みえてない?
相変わらず自分の体の上でぷかぷか浮いているユージが、鼻をほじっていた。
あ、なんかムカつく。
「……ちょっと混乱しているんですね。先生に、安定剤をもらいましょうか?」
「い、いえ! 結構ですっ」
優しく落ち着かせるような看護師さんの言葉に、慌てて両手をふる。
何度も大丈夫ですからと言い聞かせて、半ば無理矢理部屋から出ていって貰った。
私にしか、見えてない。
なら、信じてもらえるわけがない。
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