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ユージのお母さんの顔を、対向車のライトが照らす。
「私……、あの子にひどいことを言ったんです。握りしめてくる手を振り払って、置き去りにした。……もう一度あの子に会うのが、怖くてたまらなかった」
ユージはなんて言うだろう。優しいユージは、何も言わないだろうか。
私は、腹が立って仕方ない。
「……それでも、それから祐司を思い出さない日は1日だってなかった」
ひゅぅ、と息を吸う音が聞こえた。
私はただ、言葉の先を待つ。
「子供を見るとき、エビフライを見るとき、子供の日に誕生日、桜が咲くとき、結婚したとき、子供が生まれたとき、成長したとき、思い出さないときなんてなかった……!」
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