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わかることは、1つだけ。
「それでも、来てくれたから……」
サンダルにエプロンで、取るものも取らず。
それだけが、いま信じられる全てだから。
「だから、今度は逃げないで……、ちゃんとユージに向き合ってあげてください」
私の言葉に、お母さんは何も返しては来ない。
ただその細い肩が小さく震えたので、私はそっと横をむいて目を反らした。
この人の心は、ユージの命に届くのかな。
そもそも「愛してる」なんて、どうやって言葉にしてもらえばいいの?
見せかけの、ただ言って貰うだけじゃ届かない……。
時間はただ過ぎていく。
ユージには、時間が無い。
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