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お母さんはよろよろとユージの傍に辿り着くと、倒れるようにその場にしゃがみこんだ。
「祐司……」
そっと呼ぶ声に、宙に浮かぶユージが頭を抱えるようにうつ向く。
私は、いまユージに触れられないことが辛くて仕方ない。
生身なら緊張で冷たくなっているだろう節ばった手を、包んであげられないから。
「ごめん、ごめんなさい……!」
それが、何に対しての謝罪なのかわからない。
捨てたこと? 突き放したこと? 逃げたこと?
わかるのは、それが心からの叫びであること。
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