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たぶん、きっと。
ユージはお母さんに会って、そう言いたかったんじゃないだろうか。
それなのに、やっと言えたその言葉が届かないなんて。
「そんなの、ヤダ」
拳を作って、小さく呟く。
ユージの思いを、ちゃんと伝えたい。
それが出来るのは、いま私しかいないんだから。
「あの!」
でも、ありのままを話したって信じて貰えるわけがない。
伝えたいのは出来事じやなくて、ユージの思いだから。
「私、両親がいないんです」
そう言えば、ユージのお母さんがゆっくりと振り返った。
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