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ひとまず病室を出て、同じフロアに無愛想に置かれている椅子に私達は並んで座った。
ユージのお母さんはまだ涙を流してはいるけれど、大分落ち着いたみたい。
私は……。
私は、途方にくれている。
あと2人見つけなくちゃいけない。すぐにでも走り出したいのに、行く先がわからない。
1度成功したことが、私の心を焦らせる。
あと2人なのに。たった2人連れてくれば、ユージは助かるのに。
「……あの」
頭を抱えて悩む私に、ユージのお母さんが遠慮がちに声をかけた。
「あなたに……、チサさんに渡しておきたいものがあるんです」
……私に?
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