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首を傾げると、ユージのお母さんは小さなカバンの中から、四角いケースを取り出した。
……指輪ケース?
「祐司が私に会いに来たとき、最初に言ったんです。約束を果たして貰いにきたって……」
約束?
ユージからそんな話は聞いたことがない。
「最初は何のことかわからなかった。私も動揺してましたし……。でも指輪のことだって言われて、思い出したんです」
ユージのお母さんは、そっとケースを開いた。
中に収まっていたのは、古いデザインのシンプルな指輪。
「あの子が5才の誕生日のとき、お金がなくてプレゼントを用意できなくて……代わりに約束をしたんです」
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