愛してるを三回

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 腕をくんで、少し鼻の穴を膨らませながら、ユージがいう。  ……ユージのくせだ。  真剣な話をするときに、必ずユージは鼻の穴を膨らませる。  なにげない日常に帰ったみたいで、私は少しだけ肩の力を抜いた。 『神様の声みたいのを聞いてな。オレはこの世に引き止める糸ってのが細いらしい』 「糸?」 『まあ、オレの事を思ってる人間が少ないんだと』  なに、そのファンタジーな話。 『こういう時には、その糸がオレをこの世にひき止めてくれるはずらしい』 「でもユージはその糸が細いから死にかかってるわけ?」 『そう』  そうかそうか、なるほどね……。  って、納得できるか! 『っておい、チサ! どこいくんだよ』 「安定剤もらってくる」  やっぱり幻覚を見てるんだ、私。  だってあり得ないもん。
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