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もう一度差し出されたそれを断るわけにもいかなくて、迷いながら受け取る。
「5才の時のあんな約束を、まさか覚えてくれてるなんて思わなかった。本当は、とても嬉しかったんです」
きっとこれは、ユージとお母さんの、たった1つの約束なんだろう。
それがずっと忘れられなくて、ユージは私に指輪をくれなかった?
私に指輪を渡したくて、お母さんに会いに行ってくれた?
わからない……。
ユージに聞きたい、全部。ちゃんと。
小さな指輪ケースを、私はギュッと握りしめる。
ユージの愛が、伝わってくる気がしたから。
ユージを助けたい。だからちゃんと走り出すから。
だから少しだけ泣かせて欲しい。
好きだよ、大好きだよ。ユージ。
神様、どうして私の気持ちはユージの命に届かないの?
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