絶望だらけのパンドラ

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☆★☆  病院の外に出ると、パラパラと小雨が降っていた。  私は正面入り口の前まで移動して、置かれたベンチに腰かける。  取りあえず、電話帳の上からかけていこう。    焦る気持ちを押さえながら携帯を操作して、私はまず1つ目の絶望に突き当たった。 「……少なすぎる」  ユージの付き合いの悪さは、よく知ってる。  それにしても……。 「23件しか入ってないじゃん」  そのうち、10件まではお店の名前だ。仕事先とか、お弁当屋さんとか。  ちなみに、私も知っている名前も幾つかある。  ユージが育った施設の責任者の高田さん。すごく嫌な人で、ユージともとても仲が悪い。  ユージが施設の外に出る際にお世話になった結城さんは、仲が悪いわけじゃないけど、帰省中だったはず。  1人、また1人と可能性が消えていく。
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