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『ちょ、ちょっと待て! チサ』
「待たない」
『お前が協力してくれないと、オレは本当に死んじゃうんだって!』
病室から出よう扉に手を掛けるけど、ユージの言葉に思わず手を止める。
「……本当に?」
『そうだ』
張りつめた空気の中に、心電図の音が響いた。
信じられるわけがない。
でも、まだユージは生きてる。
幻覚でも妄想でも、出来ることがあるなら、してあげたい。
『神様がくれた、最後のチャンスなんだよ。お前は』
振り返ったらまたユージが鼻の穴を大きくさせていて、私はため息をついた。
「……わかった」
1つ大きく頷いて、私はまたユージに近寄る。
取りあえず半透明なユージの体に手を伸ばせば、やっぱり透けて何も掴めなかった。
「どうすればいいの?」
まだ半信半疑ながらも、確かに見えるユージに向かって首を傾げる。
『いまから24時間以内に、3人の人間に、愛してるって心をこめて言ってもらわなくちゃいけないらしい』
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