7354人が本棚に入れています
本棚に追加
1人、また1人と減って、私は携帯を操作する指を止めた。
「あと、1人」
最後に液晶に浮かんだ名前は、たぶん私も聞いたことがある。
確か同じ職場の同僚で、ユージと飲みにいってたこともあるような。
ワタル、と3文字で登録された名前には、親しみを感じ取れないこともない。
私は一度大きく深呼吸をしてから、発信ボタンを押した。
お願い、お願いします!
電話に出て!
祈るように、相手を待つ。
コール音が1回なり終わるごとに、寿命がすり減ってしまう気がした。
最初のコメントを投稿しよう!