絶望だらけのパンドラ

19/23
前へ
/130ページ
次へ
「変な女って……、友達の彼女だろ?」  私の思いを代弁するような言葉に、ワタルが頷いた。 「そーなんだけど、何か今から病院に来いって言うんだよ」  ありえねぇよな! と軽く笑う様子に、視界がぐらぐらと揺れた。 「大体その入院した奴だって、なんか施設育ちとかでさ、昔色々悪いことしてたらしいぜ」 「へぇ、じゃあバチが当たったのかもな」  いま聞いている会話がユージの事だと、上手く理解が出来ない。 「まあ何度か飲みに行ったし、気の合わない奴じゃないけど、何か気味が悪いしな」  それ以上聞いているのが辛くて、私は両耳を押さえて上を見上げた。  そうしないと、涙が溢れそうだったから。
/130ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7354人が本棚に入れています
本棚に追加