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最後の頼みの綱だったユージの浮気相手は、存在しなかった。
駆けつけてくれるのは、ユージと殆ど接点なんて無いはずの私のお姉ちゃん。
面白くもないのに、笑いが込み上げてくる。
ふとテレビの上を見ると、2人で撮った写真が幾つか並んでる。
何が楽しいのか、どの写真も力一杯の笑顔で。
どんな時も、ユージがいるから世界はキラキラと輝いて私に笑顔をくれた。
お金が無くって、いつも憎まれ口ばっかで、優しいくせに伝えるのが下手で。
バカで、肝心な所が抜けてて、心配かけるのだけは得意なユージ。
ずっと一緒にいられると思ってた。
何の根拠もないのに。
鼻をすすって、私は鞄の中から指輪を取り出した。
嵌めてみると、それは少し大きくてくるりと回る。
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