愛してるを三回

9/14

7354人が本棚に入れています
本棚に追加
/130ページ
 一緒に住むようになって、1年ほど。お互いに二十歳を超えた今でも、私は時々、あの時のユージを夢にみる。 「大体、ユージって知り合いいるの?」 『お前はオレをなんだと……』  ユージの言葉を無視して思考を巡らせていた私は、ふと数時間前のことを思いだした。 「……そういえば、ユージ、女とあってたんだってね?」  そうだ。思い出した。  ユージは、よりによって女と会った帰りにバイクで事故ったんだ! 『なっ、何で知ってるんだよ!』 「友達からメールが来たのよ、信じらんない!」  やっぱり本当だったんだ! 「ユージは、浮気だけはしないと思ってたのにっ」 『はあ? なんのことだ』  この期におよんでとぼけるなんて……っ!  唇を噛んで、涙をこらえる。  元気になったら、絶対に蹴り倒してやる。 『ま、まあ取りあえず、チサ。お前が一人目だ』
/130ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7354人が本棚に入れています
本棚に追加