7354人が本棚に入れています
本棚に追加
☆★☆
病室のドアを開けると、良くも悪くもさっきと変わらない風景がある。
まるで時間なんて経っていないみたい。
『……おせーよ』
ベッドに近づくと、難しい顔でユージが言った。
時計は、丁度8時を指している。
「ごめん」
あれから、知り合いの家を数件訪れてみた。
やっぱり駄目で、私は今1人でここにいるのだけど。
「ユージのお母さんは?」
『さぁ、お前を捜してたぞ。旦那がどうとか独り言してた』
「そっか」
捜しに行けば見つかるだろうけど、今はユージと居たかった。
ベッドにもたれ掛かりながら、床に座る。
「ごめん、ユージ。ダメだった」
最初のコメントを投稿しよう!