夢のひととき

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小型バスが着いたのは、某有名ホテルの前。 お店の都合上10名だけの抽選と言っていたので、バスの中の13名のファンは、どこかのお店ではなく有名ホテルに到着した事に驚いていた。 関係者に案内され、ホテルのロビーで待機中、入口で揉めているファンの子がいた。 「あの人有名なんだよね。絶対!前例狙いで、抽選や無理な参加状況のイベントでも他から譲ってもらうって...」 彩の話す噂は3人とも聞いた事はあったが、本人を見るのは初めてだった。 「げっ。抽選当たった子泣いてるじゃん」 「けど、譲っちゃうんだろうね」 「なんでそこまでするの?」 「夢と現実がごっちゃになってるんだよ」 私の質問に答えてくれた彩はとても切ない表情を浮かべていた。 ー夢と現実?? 意味を理解出来ない私をよそに、入口ではまだ交渉が続いていた。
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