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― えっ?いつの間に?
「し、秀一...ファンの子」
「また泣いてる...」
私の言葉を遮ってそう言う秀一は、私が泣きそうになって、急ぎ足でここまで来た事に気づいていた。
「ごめん...」
「気づいてたの?」
「うん。...けど、ファンの子居すぎて直ぐに来れなかった...ごめん」
「私こそごめんなさい。こーゆーのって当たり前の事なのに...」
「けど、さっきファンの子の中で舞の事知ってる子居たし...だから、わざわざ隠す必要ない気がするんだよね」
「えっ?」
「舞がもう少し強くなったら、隠すのやめる...」
「強くなったら?」
「うん。ファンの子に何言われても、動揺しないくらい強くなったらね」
秀一がそう言い終えた時搭乗アナウンスが流れ始め、私達は東京行きの飛行機に乗り込んだ。
そして、一度マネージャーにマンションまで送って貰って、そのまま秀一は自分の車で仕事に行ってしまった。
私は1人で部屋へ入り、今回もタダで貰ったツアーグッズのパンフレットを見ながらアルバムを聴いていた。
― やっぱり遠いよ...
今更、SKYのボーカルがいつも傍に居てくれる秀一なんだと実感していた私は、1週間一緒に居る間、きっと始めの頃と変わらない位にぎこちない態度だったはず...
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