10年分のありがとう

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翌日― 約束の時間に合わせて、今日の会場となるホールに向かう私は、ライブに向かう時の緊張とは違う胸の高鳴りを感じていた。 ― 早く姿が見たい... 小走りで階段を上る私に、上の方から声が聞えていた。 「舞ーー。遅いよー」 その声に急かされながら、既に到着している3人の元へ行くと、優しい笑顔を向けてくれていた。 そして長い列に並び、緊張で何も喋らない私に、隣で並ぶ雅人が声を掛けて来てくれた。 「舞...リラックス、リラックス」 その雅人の言葉にも顔が引き攣る程、緊張はMAXの状態だった。 3人と別れ、私は雅人に貰ったチケットに書いてある席へ向かった。 ― 3列目か...私、心臓持たないかも... 幕が上がるまでの間、私は何も考える事は出来ないままだった。 そして幕は上がり、SKYのライブで殆ど1曲目に歌われる、1番爽やかなあの曲のメロディーに、会場中の皆が声を上げていた。 キャーーー!!!!! そして、啓介と悠斗の爽やかな笑顔を見て、既に泣きそうな私は、秀一の姿がステージ上に現れた時驚いた。 ― えぇー! 秀一は肩に掛かる程の髪をかなり短く切っていて、見た目は全くの別人に見えた。 1曲目が終わり、秀一の挨拶が始まった頃には、私は涙が止まらない状態だった。 「SKY 10周年 Anniversary ライブへようこそ。記念ライブって事で...今日だけのライブを、最後まで一緒に楽しんで行ってください」 ― この声...ずっと聞きたかった...
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