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怒りで黙った私に、正樹が静かに言った。
「俺も考えてたんだよ」
「…?」
「どうしたらいいか、俺だって考えてたんだ。そしたら連絡できなかった」
「…」
「俺だって、お前からの連絡待ってたんだよ…」
静かに、でも怒りは感じない声、いやむしろ悲しそうな顔をして正樹が言った。
「もうダメなのか?俺たち…」
(ダメ…なのかな?)
私は決心してきたはずなのに、この言葉に動揺した。
私は自分のことばかり考えていた。
正樹の気持ちや状況をちゃんと考えてあげていたの?
慣れない仕事、不規則な生活。
疲れている正樹のことを、私は思いやってあげてた?
私は自分の主張ばっかりしてなかった??
私は正樹の悲しそうなその一言に、自分自身を振り返り、返事ができなかった。
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