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俺が通うのは「千響」。千真響高等学校。
曰く付きの学校。それなりにレベルと評判は良いけど、何処にでもある七不思議と言うものが存在するわけだ。
それは…
「よう勇人!」
チッ。邪魔すんじゃねぇよ!
「ひっどいなぁ勇人。お前そんなやつだったのか!」
「しくじった。声に出ていたか。全く。介斗とかいうやつに影響を受けるからこういうことに…」
「ばっちり出てますから。お前、良いのか?時間。」
「何がだ?特別遅れてる訳でも無いだろ。」
「俺に会うと…。」
忘 れ て た 。
コイツに会うっていうことはほとんど間に合わん。
「急ぐぞ介斗ぉお!!」
「は?!俺もかよぉっ!」
現在の時刻、8:26。
完全遅刻。
「……っは…間に、合、え…!」
その時、俺は何かにぶつかり後ろへと転げた。怒鳴り付けてやろうとそちらを向いた。
刹那。
「どこ見て歩いてんのよこのバカ!スカポンタン!初日から遅刻なんてあり得ないじゃないのよ!あんたのせいよ!」
(あれ?この声、何処かで……)
俺は全力疾走で曲がり角を曲がっただけで、何もしていない。
「そっちこそどこ見て歩いてんだよ!俺は三年間完全無遅刻目指してたんだっつの!」
怒鳴り返してやったら、予想通り。
「あんたの事情なんて知らないわよ!…っていやー!!完全遅刻じゃないのよ!」
何だっていうんだ。
先程からよく見ていなかった顔を見る。
…不覚だ…。
俺は不覚にもときめいてしまった。
ってまてまてまて!
んな少女漫画な展開あり得…
た。今。
とりあえず、女を無視して学校へと走る。
「勇人、お前紅いぞ?」
「う、うるさい!んな訳あるか!」
確かに、頬は熱かった。でもきっと走ったせいだろ。そう信じたい。
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