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夕方だと言っても、まだ元気な姿のまま俺達を照らす太陽に、長い影を2つ並べながら皆の元へ行き、いつも舞達が行っていた居酒屋へ向かった。
店側が準備してくれたケーキに灯るローソクを吹き消す啓介に、舞以外の皆はプレゼントを渡し、舞は小さな声で啓介に話し掛けていた。
「啓ちゃん...私、今日誕生会するのを知らなくて、プレゼント用意していなかったの。...ごめんなさい」
「何言ってんだよ。舞チン...さっきの2人の姿が何よりのプレゼントだよ」
啓介は舞へそう言って笑顔を見せた後、続けて話していた。
「舞チン。...俺からのお願い。もう何があっても秀一から離れないで」
啓介のその言葉に、悠斗も口を開いた。
「俺からもそれ...お願いするよ」
舞は2人へ頷き笑顔で俺を見ていた。
それから皆の話しが盛り上がっている中、俺は舞に小さな声で話しかけた。
「舞ー。あれから誰かと付き合った?」
首を横に振る舞は、少し俯き話してくれた。
「秀一の事...どんなに忘れようとしても、忘れられなかったの...道行く人や出会った人を秀一と照らし合わせてた。...その度に秀一への想いがわかった」
「じゃあ、どこが好き?」
耳元で聞く俺に、耳打ちで舞は言ってくれた。
「秀一だから好き」
そう言ってにっこり笑う舞は、俺の一つ一つの行動や仕草に「いいよねー」と言っていた。
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