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空には群青が広がっていた。
地には向日葵が咲き溢れていた。
「ねぇ貴方には、私が見える?
そこから、私が見える?」
空に向かって彼女は言う。
ふと一迅の風が吹けば、草木は荒々しく揺れ、彼女の声をかき消す。
「聞こえない、それとも見えないのかな……貴方には」
目の前には十字架。
「どうして、こんなことになっちゃったのかな?」
手には花束。
「今日で2年経つんだよ
――だけど、今も私の時間は止まったまま」
また風が吹き
風が優しく吹き付け、彼女を包み込む。
その度、彼女の長い髪はふわりと舞い上がる。
まるで空気を撫でるが如く。
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