片翼の君

2/7
前へ
/20ページ
次へ
蒸せるようなこの暑さの中、風が涼しく感じる。 今、普通なら5時間目の授業を受けている時間だろう。 だが私、瀬高葉摘は違う。 只今屋上でサボリ中。 否、それならまだ可愛らしいものかも知れない。 だって私は今屋上のフェンスの外側に立っていて、18年の歴史を自ら終えようとしているのだから。 けれどもう30分も経つのに未だ飛び降りれていない、その理由とは… ────バンッ 突然扉が開く音が聞こえ、それが風と自らの息の音だけだった静寂の邪魔をした。 「ん~っ!!やっぱサボるなら屋上だよな~!!」 声からして男の人で、サボリをしに来たようだ。 私はそれ以上の事は気にも止めなかった。 まさに今飛び降りようとしているのに、そんなつまらない事を気にする必要はないでしょう?  
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加