琥珀side

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滅多に人気の無い屋上。 その扉を開ける手を止めて何かを躊躇する君を見た。 やっぱり引き返そうとしたのかこちらを振り返った時に顔が見えたが、知らない子だった。 ───無表情。 冷たい瞳。 何かを思い詰めた顔。 震える唇。 彼女の事は知らないが、俺はこの表情(カオ)を知っている。 だから彼女が体を再び扉の方に向けて、今度は躊躇せずに屋上へと足を進めた時は、思わず駆け出した。  
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