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2007年12月21日
午後4時
「今回ばかりは納得できません!!」
台本が積まれた机を叩くと、監督を除く全員が驚いてこちらを見た。
「今さら台詞やストーリーを変えるなんて!覚えるのにどれだけかかったと思っているんですか!?」
私が所属しているのは、50名ほどの団員とスタッフで構成されている小さな劇団『虹の風』。主に学校の体育館や市民ホールを借りて公演を行っている地域密着型の劇団だ。
今、私が怒っているのには理由がある。3週間後に控えた小学校で演じる劇の台本を、作品の監督であり、劇団の責任者である大山さんが突然変更したのだ。
「台本を見た学校関係者の一部から、主人公が死ぬ設定は子供にふさわしくないという声があった。だから……」
「相手の顔色次第でストーリーは変わるんですか?この作品のテーマは命の尊さでしょう?命の尊さは、死という現実を見つめてこそ、見えてくるものじゃないんですか!?」
「雪菜、やめなよ。劇を成功させることが第一なんだから。ね?」
劇団仲間の佐希がつかんだ袖を振りほどき、私は大声で宣言した。
「こんな劇団、私は今日をもって辞めさせていただきます!」
「…勝手にすればいい。代役はいるんだからな。」
両腕を組んで不機嫌そうに椅子の上でふん反り返りながら、大山監督が吐き捨てるように言った。
私は右手にもっていた台本を机に叩きつけると、乱暴にドアを開けて事務所を出ていった。
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